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副知事依命通達並びに財務局
「都財政が直面する課題」に対する都庁職の見解と態度

2005年8月4日
第36回都庁職執行委員会

1、はじめに
 7月26日、「平成18年度予算の見積もりについて」と「重要施策2006(仮称)の策定について」という2本の副知事依命通達、並びに「平成18年度組織及び職員定数方針並びに監理団体職員等調整方針について」(総務局長通知)、「平成18年度組織改正計画書の作成について」(行革推進室長依頼)など、来年度予算編成に係わる一連の文書が公表されました。また同日に、副知事依命通達等文書の背景となる都財政の状況を示した「都財政が直面する課題」(財務局)という文書も公表されました。
 2名の副知事が変わり、主要な幹部が異動した後でこれらの文書が公表されたということで、今後の方針がどのように変化するのか注目されるところですし、都庁職の2006年予算人員要求闘争にも重要な影響を与えることから、都庁職の見解と態度を明らかにするものです。


2、公表された文書の概要
(1)予算見積もりに関する副知事依命通達

1.

前文では、経済が明るい展望も広がりつつある一方で原油の高騰など懸念材料もある、都財政は着実に財政再建の歩みを進めているが、赤字決算、隠れ借金で楽観できない、という「良いが、先行きが心配」という経済情勢分析をベースに、都政には先駆的な施策を推進しながら東京の活力を維持、向上させる役割があることと、強固な財政基盤の確立、第二次財政再建推進プランの確実な達成を強調して、以下の2点を基本方針として示しています。

内部努力、スクラップ・アンド・ビルドの徹底、臨時的な財源対策抜きの予算編成、財政構造改革の着実な推進

現下の都政の緊急課題に限りある財源を重点的効率的に配分し都民の負託に応える

2.

経費については、A経費(政策的判断の対象とならないもの)とB経費(A経費C経費以外)について、特例的な扱いはあるものの、平成17年度予算額の範囲で所要額を見積もることというシーリングをかけ、重点事業(C経費)のうち新規事業に係る経費についてはシーリングの対象外とするとしています。また、経費の算定に当たっては、従来の方針通り原則として事務用の備品購入は停止、印刷製本費、通信運搬費については節減としています。

3.

職員定数については、第二次財政再建推進プランの定数削減目標(3年間で4000名=既に2年間で3667名削減!)を確実に達成するだけでなく、組織の効率化や事務事業の見直し、内部管理事務の統廃合やアウトソーシングの活用でより踏み込んだ取り組みを行い削減を図ることとしています。

4.

東京都監理団体については引き続き徹底した内部努力求めるほか、団体に対する財政支出を確実に削減するよう求めています。また、地方分権を推進する観点から区市町村に対する補助金の見直しを徹底するように求めています。

5.

庁舎の新築や改築など、新規の施設建設は原則として停止することとしています。

6.

情報システムについては、費用対効果を検証し、廃止を含め抜本的に見直すこととしています。


(2)「重要施策2006(仮称)」の策定に関する副知事依命通達
 「重要施策2006(仮称)」では、これまでの重点事業を検証し、都政の構造改革を再構築した上で、平成18年度以降の重点事業の展開を明らかにすることで、改革の着実な推進を図ることとしています。

(3)「都財政が直面する課題」(東京都財務局)

1.

都財政の現状と課題
 都は、これまでの財政再建の取り組みによって、平成17年度予算については特別な財源対策を必要としないレベルとなり、歳出の内容も義務的な給与関係費や扶助費が大きく減少してきている。しかし、隠れ借金9000億円が依然として残り、7年連続で実質収支が赤字となっており、「ようやく危機的な状態を脱した」に過ぎないとしています。
 また、都財政が直面する課題として、○都税収入の不安定性(法人事業税の分割基準の見直しなど)○社会保障関係費の都負担の増加(国民健康保険など)○大規模施設更新経費の増大(都庁舎の改修費用約120億円など)○職員の退職手当の増大○「隠れ借金」への対応(多摩ニュータウン事業欠損金など)○高止まりする区市町村に対する支出金○都債利払い費の増加リスク、の7点を示しています。 今後の取り組みとしては、第二次財政再建推進プランの目的を着実に実行することと、本格的な少子高齢社会を迎えて財政運営のあり方を検討する時期に来ているとしています。

2.

都区財政調整制度の課題
 現行の都と特別区の位置づけ、業務区分を整理した上で、今後の役割分担と財源配分についての特別区側の主張と都の考え方の違いを対比しています。特別区側は、現在都が行っている大都市事務を縮小し財源も区に移すことを主張していますが、都は現状を肯定し、むしろ都区間の財源の配分方法である都区財政調整制度の現状は特別区に財源超過となっていることを強調、更に特別区の財政は良好だとしています。そして最後に、「都と区が自らの責任において、それぞれの役割を果たしていくことが重要である」と特別区を突き放しています。

3.

補助金一覧
 文書の最後に、区市町村や様々な団体、事業等に対する補助金の一覧660件を表にして載せています。載せている補助金は、予算上の節で「負担金補助及交付金」と整理されるものから、税連動経費、公課金、実費弁償金、個人都民税徴収取扱費など事務事業の委託金相当経費などを除いた項目とされています。担当局名と事業名のほか、都の負担割合、17年度予算額が示されています。



3、都庁職の見解

(1)

予算見積もりに関する副知事依命通達では、17年度予算の枠内というシーリング(ゼロシーリング)がかかっているものの、24年ぶりにマイナスシーリングが回避されています。好調な税収や本年度予算が特別な財源対策無しに組まれていることから当然といえますが、予算の枠以外は第二次財政再建推進プランの目標を達成するという、都民施策の充実よりも財政確保優先の従来方針を踏襲しており、長期にわたる緊縮予算で疲弊した職場、業務を立て直し、都民要求に応えた施策を行うには不十分かつ逆行する予算編成方針と言わなければなりません。

(2)

庁舎の新築・改築原則停止方針は、今回で9年連続となります。今回の財務局の「都財政が直面する課題」のなかで、いみじくもバブル期に建設した大規模施設の施設設備更新費が膨大な額に登ることを強調していますが、築後40年となるような多くの事業所の建物が改築されないまま放置されている現実に知らぬ顔では済まされません。また、今回の副知事依命通達では、老朽化した庁有車など備品類もそのまま放置されます。当局が、来年度から公会計制度改革と称して複式簿記を導入するのであれば、減価償却の考え方に基づく都有財産の適切な更新計画を軌道に乗せるのでなければ辻褄があいません。

(3)

予算見積もりに関する副知事依命通達、「都財政が直面する課題」共に、相変わらず、「隠れ借金」が9000億円あること、昨年度一般会計の実質収支が赤字(255億円)の見込みであることを強調していますが、「隠れ借金」の中身は貯金(減債基金の積立)が出来ないこと、他会計(同じ東京都の財布)からの借入、事業欠損(市街地、多摩ニュータウン)であり、借金であることを強調するような内容ではありません。特に取り上げている、多摩ニュータウン事業の欠損1000億円が来年度資金ショートとなるのは、事業収束を都が決め、そのための財政上の処理を行なうに過ぎません。また、昨年度の都税収入は最終補正時点より500億円程度の増収となっており、そのまま収入増としておけば実質収支が赤字にならないものを、基金などの積立(貯金)を増やして名目上の赤字をつくったのが実態です。いずれにしても、借金、赤字の強調は、都庁職が再三指摘してきたように、当局がリストラを進める上で都財政危機を強調したいための「逆粉飾」でしかありません。

(4)

「重要施策2006(仮称)」の策定に関する副知事依命通達では、これまで実施されてきた重点事業を検証することと、設定する重点事業については3年先までの展開・方向性を明らかにすることとされています。確かに、これまで実施されてきた重点事業については、重要であるかどうか疑問な事業もあったことから、検証が必要なことは言うまでもありません。しかし、結果として重点事業を絞り込むことになれば、すべての事業がシーリングの枠内に閉じこめられることになり、重点事業自体が意味を失います。

(5)

「都財政が直面する課題」の前半「都財政の現状と課題」では、7項目の今後の都財政圧迫要因を列挙し、いかに今後も引き続き厳しいかを強調しています。確かに、小泉内閣の三位一体改革の議論の過程で、都道府県で唯一の地方交付税不交付団体である東京都の一人勝ち論がささやかれ、財務省と総務省が東京都から財源を召し上げる考え方に立って、法人事業税の分割基準の見直しが行われたのは事実のようですし、国民健康保険制度にいつのまにか高額の都道府県負担が盛り込まれていて、この部分では極めて大きな問題であることは我々も否定しません。しかし、「大規模施設更新費の増大」や「職員の退職手当の増大」は、当局自らが実施してきた施策の結果や、従前から国全体が抱える問題として認識されてきた事柄です。都が以前から対応策を準備してこなかったとすれば自らの失策でしかありません。また「隠れ借金」論は(3)で指摘したように、財政危機を強調するために当局が編み出した議論です。「都債利払い費の増加リスク」は新たに登場した議論で、あり得る話だとは思いますが、そこまでいうなら1000億円出した「新銀行東京」の今後のリスクにふれるべきです。更に、「区市町村に対する支出金」が多いことや増加しているということだけで問題にしていますが、それは国が行っている都に対する仕打ちを、都が区市町村に対して持ち込むに等しいやり方であり、到底認められません。

(6)

「都財政が直面する課題」の後半「都区財政調整制度の課題」は、これまで都と区の間で持たれてきた「都区財政調整協議会」の議論を整理し公表したものと考えられます。来年4月から、清掃関係職員の身分が完全に区移管となることを踏まえて、清掃関連経費は当然まな板に乗せざるを得ませんし、大都市事務についての都区の見解の違いも調整が必要と考えられます。今回こうした課題が公表されたことは評価できますが、内容を見る限り区の主張に都は一歩も引く考えを見せていないことから、議論は長引くと考えられます。組織同士の考え方をぶつけることは否定しませんが、「一銭でも金を離したくない」という立場で議論が長引くことは不毛ですし、「都民の利益を優先に」という、共通の認識で自治体本来の立場に立った議論と解決が求められています。



4、都庁職の態度
 都庁職は、これまでの予算・人員闘争のなかで、第二次財政再建推進プランに盛り込まれた3年間で4000名の定数削減計画に反対し、第二次都庁改革アクションプランで示された組織改正やNPM(ニューパブリックマネージメント)手法による民営化・民間委譲などのリストラ攻撃に反対して取り組んできましたが、当局は、そうした我々の主張に耳を貸すことなく、強引なリストラを進めてきました。今日、そのことによって都民の生活を守るという都政本来の役割が大きく変質し始めています。都庁内の職場では大量退職時代を迎えて業務を維持していくことすら困難な事態となり、都庁職の要求を無視して先送りしてきた庁舎や設備の維持管理も待ったなしとなる事態を招いてきました。しかし当局は、今回の副知事依命通達でも財政危機を強調し、24年ぶりのゼロシーリングではあるものの引き締め方針を変えていませんし、国の「骨太方針2005」を先取りする第二次財政再建推進プランに基づく定数削減を一層強化する考え方を明らかにしています。
 都庁職は、第二次財政再建推進プランの根拠となる都財政危機は、今年度予算作成に当たって特別な財源対策を必要としなかったことからも解消されていると判断し、これ以上の定数削減に反対し、大量退職に見合った新規採用を要求し、庁舎の改善など必要な予算を必要な場所に付けるよう求めると共に、「都民本意の都政確立」のスローガンを高く掲げ、都政の変質につながる民営化・民間委譲の都政リストラに反対して、2006年度都庁職予算人員要求闘争を、都民の理解を得ながら、各支部と共に繰り広げる決意です。


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