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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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見解
 

2011年度「東京都予算案」「職員定数」等に対する見解と態度


2011年2月9日
東京都庁職員労働組合


1.はじめに

 東京都は2010年12月24日、「平成23年度(2011年度)東京都予算(原案)」(以下「予算原案」)および「平成23年度(2011年度)組織改正及び職員定数」「平成23年度(2011年度)東京都監理団体所要人員計画」を発表した。その後、200億円を財源とする復活予算を含めた「平成23年度(2011年度)東京都予算案」(以下「予算案」)を2011年1月13日に、2011年1月17日に「平成22年度(2010年度)最終補正予算」を発表した。
 この「予算案」は、デフレ経済のもとで景気の後退から抜け出せない中で都税収入の大幅な伸びが期待できないとしながら、引き続き巨額な予算を「『10年後の東京』実行プログラム2011」(以下「実行プログラム2011」)に基づき都市基盤整備等に優先的に投入している。
 オリンピック招致をそもそもの口実にしてきた長期計画「10年後の東京」がその最大目標を失ったため、大企業優先の大規模開発推進の本音が露骨に表れている。「実行プログラム2011」もこれまでの取り組みを踏まえ、今後3年間で約2兆円規模とし、来年度は約6,300億円を執行する計画である。8つの目標で掲げた「三環状道路により東京が生まれ変わる」には3カ年計画の予算額は全体の約40%を占める莫大な予算を投入するとしている。「予算案」は、「実行プログラム2011」を基本とし、「新自由主義」に基づく「構造改革」を一層加速するものとなっている。
 都庁職は、2011年度予算・人員要求実現闘争において都民本位の都政運営と都庁労働者の諸要求実現を求めて、要請行動、検討委員会での議論など取り組みを進めてきたが、示された「予算案」や「職員定数」は、都庁職の要求に応えず、暮らし・福祉の予算は、一部に前進はあるものの全体として低く抑えられている。都庁職は、「予算原案」発表時に「実行プログラム2011」も含めた「抗議声明」で基本的見解と抗議の意思表明を行ったが、確定した「予算案」「職員定数」の問題点と今後の闘いの方向を示すため、「見解と態度」を明らかにする。

2.「予算案」「職員定数」の特徴と問題点

(1) 編成方針および全体フレーム
 「予算案」は全会計合計で11兆7,642億円(前年度比5.3%減)、そのうち一般会計は6兆2,360億円(前年度比0.4%減)と6年連続で6兆円を超える莫大な規模となっている。その編成方針は、「厳しい財政環境が続く中にあっても都政の使命を確実に果たし、中長期的施策を支える財政基盤を堅持しながら、東京の新たな活力と成長へと結びつける予算」と位置づけ「1 現下の社会情勢の下、都民が抱える不安を払拭し、活力を取り戻す効果的な手立てを速やかに講じるとともに、中長期的な視点から、東京が持つ可能性や潜在力を引き出し、新たな成長へ結びつけていく戦略的な取組を揺るぎなく進める。」「2 すべての施策を厳しく検証し、その効率性・実効性を一層向上させるとともに、基金残高の確保にも配慮するなど、将来にわたって積極的な施策展開を支え得る財政基盤を堅持する。」の二点を基本としている。しかし、厳しい財政環境といっても大阪・神奈川・埼玉3府県を合わせた規模の財政力である。都民が抱える不安を払拭といっても事業評価で厳しく検証する中でサービスを低下させている。基金残高の確保に配慮といって五輪開催準備基金4,116億円を含む約1兆円の基金を温存するなど「実行プログラム2011」を基本とする「新自由主義」に基づく「構造改革」を推進する「予算案」である。

(2) 歳入について
 @来年度の都税収入は、4兆2,205億円を見込んでいる。なお、法人事業税の暫定措置の影響により、平成23年度(2011年度)では「法人事業税」が3,545億円の減収となるが、「地方法人特別贈与税」1,701億円が国から贈与されるため、都への実質的な影響は1,844億円減収となる。長引く景気の悪化により、過去最大の減収であった昨年に比べて692億円(1.7%)増は、都税総額が5兆円規模に達した2006年から2008年の異常ともいえる時期を除けば、平年並みの水準を維持している。
 A都債は、4,581億円(前年度比4.3%減)、起債依存度は7.3%で前年度から0.3ポイント減少し、引き続き財政の健全性を確保していると説明しているが、1メートル1億円もかかる外郭環状道路や中央環状品川線、東京港臨海道路など大型幹線道路の建設など大規模開発中心に発行されている。後年度負担を考慮すれば都債発行は大胆に抑制すべきである。
 B「将来の東京を見据えた集中的取組や必要な施策を着実に実行するために、これまで積み立ててきた基金を活用」するとして「スポーツ・文化」「環境」「福祉・医療」の3分野の事業を推進するため、集中的・重点的な施策展開を支える3基金を取り崩す(250億円)とともに、都市インフラの整備などには、社会資本等整備基金を充当(499億円)することで必要な財源を確保したと説明しているが、財政調整基金の活用は必要最低限の1,458億円であり、都が利用可能と認めている基金だけでも、五輪開催準備基金4,116億円を含む約1兆円が温存されている。

(3) 歳出について
 一般歳出は、前年比1.0%(450億円)減の4兆5,839億円となった。
 経常経費のうち、給与関係費は退職手当の減や減額給与改定などにより、前年度に比べて351億円減の1兆5,568億円となった。給与関係費は10年前に比べて2,088億円の減少で、この間の給与の減少や定数削減の大きさを示している。その他の経常経費は5年目となる事業評価について対象範囲を拡大するとともに新たな公会計の視点を一層活用して事業の実績などに基づく歳出の精査を徹底し、前年度と比べて約890億円事業費の見直しを行ったとしている。その他、羽田空港再拡張事業や国政調査など国に関連する事業が終了した。
 投資的経費は都市基盤の整備を確実に進めるため、東京港の整備や骨格幹線道路の整備など、投資効果の高い事業に財源を重点的に配分した。また「主要施設10カ年維持更新計画」に基づく施設の改築・改修を着実に進めるとともに、災害への備えとして各種施設の耐震化などを推進するとしている。こうした取り組みで2.4%増、8,335億円と7年連続の増となった。
 @都民生活の安心確保については、大卒予定者の就職内定率が57.6%と「超氷河期」と言われるような深刻な就職難が続いているが国の緊急雇用基金を活用した事業は増加しているものの未就職卒業者緊急就職サポート事業等であり、都としての安定雇用の創出は極めて不十分である。福祉予算額の増額は特別養護老人ホーム整備費補助や老人保健施設整備費補助、認知症高齢者グループホーム緊急整備で大きく増額されている。子育て支援では、待機児童解消に向けた区市町村の取り組みに対する支援として予算を増額している。医療の分野では、NICU(新生児集中治療室)やM−FICU(母胎・胎児集中治療室)の運営費補助が措置された。一方で新型インフルエンザ対策が大幅に減額された。
 A産業の活性化については、不況に喘ぐ中小企業や商店への支援は待ったなしの状況だが、中小企業対策は今年度より削減された。制度融資予算も197億円の減額となった。緊急円高対策としての融資枠は500億円確保された。
 B都市基盤整備の拡充については、東京湾の国際競争力の強化、東京外かく環状道路の整備、首都高速道路の整備、区部環状・多摩南北方向の道路の整備等、都市基盤整備に多額の予算を計上している。防災対策として、緊急輸送道路沿いにある1981年以前の建築物で道路を閉塞させる恐れのあるものを対象に耐震診断や改修費用の助成で1,794億円が増額された。緊急豪雨対策として学校、公園、都営住宅などの公共施設を対象に、一時貯留施設等の設置を促進するとして250億円を予算化した。
 C環境問題への先駆的取り組みについては、都民に歓迎された住宅向けの太陽光発電利用機器への補助制度を廃止するなど環境局予算は74億8,800万円削減された。都市公園整備予算も減額された。
 D教育・文化・スポーツの推進については、小1問題・中1ギャップの予防・解決のための教員加配で学級規模を小1・中1は38人、小2は39人が実現した。公立学校の冷房化支援として普通教室を冷房化する市町村を支援として21億6,300万円が予算化された。また、青少年に関する多様な問題に対応するためスクールカウンセラー活用事業として3億6,700万円が予算化された。
 E復活予算は、例年と同じ200億円が財源で「都市基盤の整備」には53億7,000万円が措置され、その結果「予算案」における「投資的経費」のうち、都単独が5,148億4,000万円、前年度比408億7,200万円増(8.6%増)の高い伸び率を続けている。区市町村の振興は、市町村総合交付金及び特別区都市計画交付金等で38億6,000万円、福祉・保健・医療の充実は、福祉保健区市町村包括補助事業等で56億8,100万円、教育の充実は、私立学校教育助成等で38億3,900万円、商店街の活性化は、新・元気を出せ!商店街事業等で12億5,000万円が措置された。

(4) 定数査定について
 @2011年度職員定数は、全任命権者総計で165,251人で、前年度から36人の定数削減で、総定数抑制方針が貫かれている。
 内訳は、知事部局等170人減、公営企業200人減、学校職員217人増、警視庁117人増、東京消防庁プラスマイナス0となっている。「平成23年度予算編成方針」に示された、「職員定数については、事務事業の見直しやアウトソーシングの推進など、業務執行方法の改善を進めることにより、削減を図る」が貫徹された。石原都政のもとで職員定数は23,568人削減された。うち知事部局は18,286人(清掃区移管分を含む)、となっている。しかし、警視庁は今回も117人増でトータル1,491人増となり、他任命権者の定数削減がすすむ中で増加の一途である。教員の少人数学級対応の増217人を含めて必要増員数を知事部局や公営企業の減員で相殺している。職場実態を無視し「数合わせ、削減ありき」の定数削減は、円滑な業務執行を阻害するにとどまらず、職員が働き続けることすら脅かすものである。
 A知事部局は増員549人、減員712人前年度比163人の削減、教育庁は増員15人減員で22人前年度比7人の減である。
  主な内訳は、増員では、スポーツ振興局はスポーツ祭東京2013開催準備に伴う体制強化で27人増、病院経営本部は小児総合医療センター精神科病棟看護体制の整備で32人増及び新生児看護体制強化で37人増、福祉保健局は児童相談体制の強化で11人増、減員では福祉保健局は町田市の保健所政令市移行に伴う町田保健所の移管で38人の減及び地域活動支援への機能転換で19減、総務局は国勢調査の終了で21人の減、産業労働局は多摩職業能力開発センターの再編整備に伴う見直しで11人減、病院経営本部は駒込病院再編整備に伴う体制整備等で73減となっている。「平成23年度予算編成方針」に示された「事業評価」について「管理団体等を通じて都が実施している事業や特別会計及び歳入についても評価対象に加えるなど、対象範囲を拡大するとともに、新たな公会計の視点を一層活用するなど、評価手法を充実させることにより、もう一段ステップアップさせる」として委託拡大を一層推進している。現業職場は今回も退職不補充方針が貫かれた。委託職場の拡大等は都民サービスの低下に直結するものであり容認できない。
 B監理団体の定数は前年度の9,314人から9,875人に561人増員となったが、うち団体に派遣する都職員は3,106人から2,825人に281人減員になり、固有職員の割合が年々大きくなっている。
  主な増減事項は、既存事業等の減として、財団法人東京都医学総合研究所(仮称)で18人減、監理団体への新規指定による増として、東京交通サービス株式会社及び東京マラソン財団で270人増、新規事業、都からの移管事業による増として、財団法人東京都保健医療公社(7対1看護体制導入等)で309人増となった。「平成23年度予算編成方針」に示された「監理団体については、補助及び委託の内容、方法など必要な見直しを行うことにより、財政支出や都派遣職員の削減を図る」を着実に実行に移した。構造改革・監理団体改革の推進は行政責任の放棄を促進するものであり容認できない。

(5) 組織改正について
 スポーツ振興局では、スポーツ祭東京2013の開催準備を着実かつ円滑に進めるため、障害者スポーツ大会課を設置する。福祉保健局では、総合的ながん対策の推進に必要な地域がん登録の実施に向けた体制を整備するため、地域がん登録担当課長を設置する。また、町田市の保健所政令市への移行に伴い、町田保健所を同市に移管する。
 などの組織改正を行うとしている。

(6) 2010年度最終補正予算(案)について
  都税収入は、当初予算から299億円減の4兆1,215億円となった。補正予算の規模は、一般会計で774億円減、特別会計516億円増で合わせて257億円減となり、2010年度予算規模は12兆3,976億円となった。都は、基金はできるだけ残高を確保する方針である。そのためには、活用可能な基金の取り崩しを縮減する方針を強く打ち出している。

(7) 使用料・手数料の改定等について
 改定等に当たっての考え方は、
@原則として2年以上改定を行っていないものを調査し、改定の対象とする。
A料額は、原価を基本としつつ、国や他団体、類似施設の料額などを勘案しながら設定する。
B現行料額と原価との間に著しい乖離が見られる料額については、倍率1.5倍を限度として改定を行う。
 としている。今回の対象条例等は、料額の改定4件、料額の新設5件、合計9件となっている。
 今回の改定で、問題なのは病院会計の都立病院の分娩料である。現行は、時間内で86,000円、時間外で104,000円、深夜で122,000円を一本化して157,000円とする内容である。アップ率は、時間内で1.83倍、時間外で1.51倍、深夜で1.29倍となっており、時間内が考え方の1.5倍の限度額を大幅に超えたことは問題である。少子化が叫ばれ、多方面から対策が検討されている中で分娩料を大幅に引き上げることは時代の流れに逆行するものである。今回の使用料・手数料の改定が一層都民に負担を押しつけるものであり断じて認められない。

3.都庁職の見解と態度

 (1)石原都政は3期12年を終えようとしている。石原知事が就任した1999年は都財政の危機が叫ばれている時期で「東京都財政再建プラン」「危機突破・戦略プラン」を相次いで発表し、財政危機を最大限に煽っていた。「市場原理主義」「新自由主義」を都政に持ち込み、「財政再建」を口実に福祉・医療・教育・雇用など身近な施策や事業の切り捨て、職員定数の大幅削減や給与削減を強行してきた。都財政危機の原因はバブル崩壊後も臨海副都心開発や大規模施設建設等のために毎年8,000億円から1兆2,000億円も都債を大量に発行し、湯水のごとく財政を投入してきたことによるものであることは明確である。さらに「行財政改革実行プログラム」を発表し、なりふり構わぬ大幅定数削減や様々な手法を活用して事業の委託化を図るなど地方自治体の役割を切り捨ててきた。また、大幅な都税収入増を背景に、「『10年後の東京』への実行プログラム」を前面に掲げた都政運営に邁進してきた。
 「平成23年度予算編成方針」では、財政環境の厳しさを強調し、財政基盤の堅持を強く求め、無駄の排除を徹底するとともにすべての施策を厳しく検証し、その効率性や実効性を向上させた上で、基金についても計画的に活用し、可能な限り残高を確保していくとしている。事業評価について、「監理団体等を通じて都が実施している事業や特別会計及び歳入についても評価対象に加えるなど、対象範囲を拡大するとともに、新たな公会計の視点を一層活用するなど、評価手法を充実させることにより、もう一段ステップアップさせる。」としている。都当局は、「事業評価」をよりどころとして、施策の切り捨てや委託化などを強引に押し進めてきている。厳しい財政環境が続く中にあっても「実行プログラム2011」として選定された事業の平成23年度事業費については確実に計上するとして聖域としている。今後3年間で約2兆円規模とし、来年度は約6,300億円を執行する計画である。「実行プログラム」は8つの目標を掲げ毎年3年のスパンでローリングをかけている。「実行プログラム2011」は【目標1】水と緑の回廊で包まれた、美しいまち東京を復活させる600億円9.5%、【目標2】三環状道路により東京が生まれ変わる2,170億円34.5%、【目標3】世界で最も環境負荷の少ない都市を実現する340億円5.4%、【目標4】災害に強い都市をつくり、首都東京の信用を高める1,770億円28.1%、【目標5】安心できる少子高齢社会の都市モデルを創造する890億円14.2%、【目標6】都市の魅力や産業力で東京のプレゼンスを確立する320億円5.1%、【目標7】意欲ある誰もがチャレンジできる社会を創出する80億円1.3%、【目標8】スポーツを通じて次代を担う子供たちに夢を与える120億円1.9%となっている。基本的な路線は目標2「三環状道路により東京が生まれ変わる」で3ヵ年計画の予算額は40.8%である。最も都民が求める目標5「安心できる少子高齢社会の都市モデルを創造する」は11.3%しか予算化されていない。項目は多方面にわたるが予算に占める割合は微々たるものである。そもそも「『10年後の東京』への実行プログラム」そのものが「オリンピック招致」を口実にして都市基盤整備を中心とした大規模開発を推進するための方策であり、オリンピック招致に失敗してもなお、「2020年に招致したい」と執念を燃やしている。
 石原知事の強い意向で設立された「新銀行東京」も、当初の出資額1,000億円が経営の行き詰まりで400億円の追加出資をしても改善の見通しはほとんどない。莫大な税金が投入される中で、知事の責任は曖昧にできない。
 投資的経費は、全体予算が280億円減でありながらも都市基盤の整備や大規模施設の改修などに前年度比2.4%増の8,335億円と毎年増額計上されている。これまで積み立ててきた基金を活用するとしているものの「財政調整基金」の活用は必要最小限の1,458億円にとどめ、「東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金」も取り崩さず、財源として活用可能な基金の残高は、平成23年度末で9,600億円程度も確保している。「行財政改革実行プログラム」が終了しても都政の構造改革・都政リストラは強行され、国より先を行く「構造改革」も、職員や都民の声に耳を貸さず、がむしゃらに推進した。ここまで都民施策を切り捨て、リストラしてきた当局の責任は重大である。格差社会が一層拡大する中で生活に苦しむ都民や次世代を担う子どもたちに、直接具体的な支援を行うのが行政の責任である。福祉をはじめ医療・住宅・雇用など都民生活への施策は低く抑え、都民要望に応えない都政のあり方は断じて容認できない。歳出の重点を都市基盤整備中心から都民施策中心に切り替える時である。都庁職は都市開発に莫大な税金を注ぎ込む石原都政の地方自治体行政の破壊や、その具体化である「予算案」に怒りをもって反対するとともに、都民要求実現のために引き続き粘り強く戦い抜くものである。

 (2)職員定数では、全任命権者総計では、36人の削減となったが、知事部局では170人の削減と相変わらず大幅な削減が強行された。一方で2011年度も警視庁は増員され聖域となっている。1999年度に知事部局44,709人、警視庁44,544人でほぼ同数であったが、2011年度は知事部局25,261人、警視庁46,035人と1.8倍もの差となった。
  職員定数の削減は、事業評価を最大限活用し、都立施設の統廃合、様々なNPM手法による委託・移譲等に加え、業務の「見直し」等で押しつけられた。今日、ベテラン職員が培ってきた知識や技術、技能等知的財産の伝承や人材活用が大きな課題となっている。「効率・効果的な執行体制の構築」として監理団体等に委託を進めてきたが、職員定数から除かれても、都の職員(派遣)は2011年度も2,825人存在しており、その職員なしには執行体制が維持できない。
  監理団体についても「平成23年度予算編成方針」では補助及び委託の内容、方法など必要な見直しを行うことにより、財政支出や都派遣職員の削減を図るとしている。具体的には、2011年度の監理団体所要人員計画では3,106人から2,825人に281人も削減された。外部人材の活用も打ち出され、定数削減と連動させない取り組みも必要である。
  現在、職場では業務量に対する人員が不足しており、超過勤務の高止まりやメンタルヘルスを病む職員が増加する異常な事態が続いている。今こそ少子高齢化社会に対して、妊娠・出産や育児・介護等家族的責任と仕事が両立できる支援策の充実や、職場環境の改善・整備が必要である。都民ニーズに応え、業務量に見合う職員配置、働きがいがあり、誰でもが健康で安心して働き続けられる職場の構築が早急に必要である。

(3)都庁職は、臨海副都心開発など「都市再生」の名による大企業本位の大型開発事業投資の都財政運営を抜本的に見直すことで、自治体本来の責任を果たし得る等、都財政再建の具体的提言も行ってきた。臨海副都心開発の失敗を繰り返すことはできない。都財政が「健全な状態」である今こそ、歳出の配分を大きく切り替え、都民の暮らし改善などに使うべきである。都政の第一線で働く職員の声を集大成した都庁職の要求に真摯に耳を傾け、都民生活や雇用を守るために、以下に示す方向で抜本的な政策の見直しを行うべきである。
@「『10年後の東京』への実行プログラム」で掲げる首都圏機能の発展を支え、国際競争力を回復させるため、空港・港湾機能の充実と合わせ、空港、港湾、道路等の連携により交通・物流ネットワークを強化するという大型公共事業は直ちに中止し、「投資的経費」を抑制すること。
 A首都高速道路整備等は、国が本来負担すべきものであり、東京都の財政支出を取りやめること。
 B国直轄事業負担金等、国に強制された支出を停止すること。
 C都税を有効活用するため、福祉への投資や福祉関連公共事業での雇用を創出すること。
 D地方税の原則を歪める法人事業税の一部国税化に反対し、地方消費税によらず地方交付税の財源保障調整機能を回復させ、地方財政を確立すること。
 E新規都債の抑制と低利借り換えによる公債費負担の一層の軽減を図ること。

(4)都庁職は各局要求の提出時期や査定作業の進捗にかみ合わせて闘争を構築してきた。昨年4月に2011予算・人員要求闘争方針を確認し、各支部の協力を得ながら職場・分会からの要求集約や、各局要求が提出されるまでに行われる支部・局交渉を重視しつつ、「予算・人員検討小委員会」での協議を進めた。2010年7月に基本要求の提出、9月には各支部と都庁職現評による重点要求の対都要請行動を実施した。査定作業が進んだ11月以降には都議会各会派要請を行い、合わせて各支部最重点要求の提出を含めた検討小委員会での具体的な主張を行った。さらにステッカー闘争、全組合員署名や局長・所属長要請など職場からの取り組みも行い、各支部・職場から積み上げた要求の実現に向け闘った。各支部交流決起集会も開催し、12月2日には総務局に対して署名の提出と要請を行って都庁職要求の実現を求めた。とりわけ予算編成に関わる要求や各支部・各職場から積み上げられた要求の実現を強く求め、福祉・医療・雇用など、都民生活を支える都民施策の充実に都政の重点を置くよう主張し、自治体が責任を持って対応する体制をつくるよう要求してきた。さらに「賃金確定闘争」「予算・人員闘争」の一環として、都庁職「島しょ要求」「障害者要求」「研修要求」「新宿庁舎改善要求」を提出し、「島しょ要求」「障害者要求」は対都要請行動も行った。しかし、当局は、こうした道理ある要求に応えず「予算原案」の発表と定数通告を都庁職に対して行った。
 都庁職は、このように一方的で、都民・職員を無視する当局の「予算原案」や大幅職員定数削減に対して、満身の怒りをこめた「抗議声明」を発表し、復活要求に向けて取り組みを行った。
 今後も以下の点を基本として都民要望に応える予算編成を求め、全面的な都政リストラ攻撃に反対し、都民とともに取り組みを進めるものである。
 @都民に「格差拡大」を押しつける「都市基盤整備」中心の予算編成に反対し、福祉・教育・医療・雇用・住宅などの都民生活改善に向け、暮らし関連予算等を最重点とする予算編成を求める。
 A予算・人員に関わる重要な課題は、職員の労働条件に直接影響を与える。都当局の労使協議の対象としない「管理運営事項」との態度を改めさせ、具体的・実質的な協議ができるよう取り組みを進める。
 B石原知事がこれまでに行った23,568人の定数削減を糾弾し、都民要求に応え、事務量や職場実態に見合う職員定数配置・職場環境改善を求める取り組みを強化する。  C憲法の理念と精神に基づく地方自治の本旨の実現である都民本位の都政を実現するため、この間の石原都政が都民に与えた痛みを明らかにし、広範な都民と連携しながら取り組みを強める。
 
以上

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