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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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見解
 

東京都人事委員会勧告に関する都庁職の見解と態度

2010年10月7日
都庁職執行委員会


1.
 10月7日、東京都人事委員会は都知事及び都議会議長に対して、職員の給与に関する勧告及び報告を行った。勧告の内容は、例月給の較差を△1,235円(△0.29%)とし、特別給については△0.2月というもので、年間平均で10.5万円の給与切り下げという極めて政治的な勧告であり、断じて認められないものである。
 また、私たちが強く要求している地域手当の本給繰入には一顧だにせず、18%への引き上げに伴う本給切り下げ分とマイナス較差をあわせて、平均改定率は△1.2%の給与改定を行うこととした。そして、改定にあたっては、昨年同様に若年層及び管理職層の引下げを緩和し、高齢層を強く引き下げるとし、今まで進めてきた昇給カーブのフラット化をより一層進めている。具体的には、職責による水準差を今年も拡大し、行政職給料表(一)の場合で0.0%から△1.5%の幅で給料表を改定するとしている。
 今年の勧告においても、昨年同様に医療職(一)については、医師の人材確保の観点から給料表の改定は行われなかった。
 しかし、看護職等については、「人材確保、職務の専門性をより重視したフラットな昇給カーブへ転換」「初任給水準の確保のため」として、医療職(二)は△1.6%、医療職(三)は△1.7%と、行(一)に比べて高齢層の引き下げを昨年同様強くしたものとなっており、到底容認できないものである。
 また、フラット化を強くすることが「人材確保」につながるものではないことは明らかである。
 人事委員会は、昨年の結果についての評価を全く明らかにしていない。昨年の結果が人材確保にどのように影響を与えたのかを検証すべきである。

2.
 今回、第3子以降の扶養手当を1子2子と同額に引き上げた。その一方で、住居手当について「扶養手当との重複支給」を理由に、扶養親族ありの9、000円の手当を扶養手当なしの8、500円の水準に引き下げることを勧告した。
 国に追随することなく独自の措置としたことは評価される。しかし、私たちが要求している首都圏における住居にかかる経費や扶養家族を含めた家族数による必要な住環境の違い、国における職員住宅の整備状況との違いを無視したものである。住居手当の増額こそが求められている。
 単身赴任手当についても扶養の有無の区分を廃止し扶養無しの水準とした。
 また、人事委員会は、住居手当について「引き続き制度のあり方を検討していく」と意見を出しているが、住居手当は超過勤務手当にも直接影響する問題であり、給与費と福利厚生費との関連など検討すべき問題は多くあると言わざるをえない。

3.
 8月10日に行われた人事院勧告では月例給△757円(△0.19%)の官民較差としたが、その中で「地域別の民間給与との較差」で東京都は1.08%であるとしたことからも、この全国平均を上回るマイナス勧告は決して容認できるものではない。
 この点では、9月30日に行われた都労連要請に対して、人事委員会から「東京地域の国家公務員の職員構成による結果であり、職員構成の異なる都の較差が、必ずしも同様の傾向とならない」という回答があった。これも人事院・人事委員会の調査は「仕事の種類・役職・勤務地域・年齢・学歴などを同じくする者どうしを比較している」以上、全く根拠がないことは明確である。
 この間の政令市の人事委員会勧告は、ほとんどの都市がマイナス勧告であり、一時金については全ての都市で国と横並びに△0.2月になっている。このことからも、政府・財界の総人件費削減攻撃に屈服した姿がうかがえる。

4.
 都庁職は、3月から9月まで3回にわたって実施した人事委員会要請において、同種・同等の比較という原則に基づく公民比較を行うことや、比較対象企業規模を従前の100人以上に戻すべきこと、首都圏に生活する都職員の生活を確保するための給与改善勧告を行うこと、地域手当の本給繰入等を求めてきた。
 さらに、中高年齢層に対する一層の昇給カーブのフラット化は認められないこと、地域手当の段階的引き上げに伴う本給の切り下げは、退職手当の削減等の賃金改悪に連動するもので反対であることを表明してきた。
 特に地域手当が支給されない島しょ勤務職員等については大幅な年収減に直結するものであり、物価水準や家族等の二重生活などに伴う生計費の増に対する何らかの措置を講ずるなど、この矛盾を解消することを強く求めてきた。しかし、勧告は何ら要求に応えたものとなっていない。
 人事院勧告における56歳以降の一部職員に対する一律削減措置は、年齢による職員差別であることは明確である。都庁職として断じて認められないことを主張してきたが、今回、人事委員会は定年延長問題を含めて今後の課題とした。
 一時金についても、民間における本年夏の支給実績は明らかに増加している。また、公民における月例給と一時金の配分や考え方に違いがあることを一切無視し、勤勉手当における成績率の増加のみに言及していることは認められない。減額勧告ともども強く抗議する。
 今回の人事委員会勧告は、こうした都庁職の切実な組合員の要求を一切反映しない一方で、政府・財界の進める公務員人件費削減に加担し人事院勧告に追随するものである。
 私たちの労働基本権制約の代償としての中立・公正な第三者機関であるべき人事委員会の役割を自ら投げ捨て、国をあげての賃下げ攻撃に屈服したことに都庁職は断固として糾弾する。

5.
 今年の人事委員会勧告においても、今後の人事制度のあり方・年金支給と連携した定年延長・後期高齢職員の給与問題等についての言及はあるものの、いずれも具体的なものではない。人事院など国の制度改正の動向待ちの感は否めない。
 いずれにしても人事制度や定年延長問題を含む高齢職員の労働を含むライフステージは労使協議において制度設計を行うべきであり、人事委員会は都当局に対し、労使対等の立場で十分な協議を行うことこそを勧告すべきである。
 都職員の置かれている現状から、超過勤務の縮減、仕事と生活の調和、メンタルヘルス対策についても言及されたことは当然のことだが、いずれも具体性にとぼしく、これらの改善を求める私たちの要求に応えたものとなっていない。
 人事委員会は都当局に対し、強く雇用者責任を追及すべきである。

6.
 今次確定闘争において、08確定闘争で引き続き協議とされた現業系任用制度改善の要求について、再構築を図った都労連統一要求をもとに最重要の課題として闘いを進めていく。
 さらに、福祉関連要求・島しょ要求・障害者要求等、要求と課題は山積している。
 都庁職は、もはや労働基本権制約の代償としての立場や機能を放棄した人事委員会勧告を徹底糾弾し、都労連に団結してすべての組合員の統一行動を背景に厳しい情勢を打破し、労使協議による諸要求実現をめざして闘いぬくものである。

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