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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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見解
 

「『10年後の東京』への実行プログラム2008」に対するコメント

2008年1月17日
東京都庁職員労働組合

 東京都は2007年12月21日、一昨年の12月に発表した「10年後の東京」の実現に向け、来年度からの3か年で展開する具体的な政策を『「10年後の東京」への実行プログラム2008』と題して発表した。
 石原都知事は「2016年東京オリンピックの成功をより確かなものとするためにも東京をさらなる成熟に導き、21世紀の都市モデルへと飛躍させ、世界が進むべき航路に火を灯していく。」と豪語し、アクセルを踏み込む3か年のアクションプランと位置づけるとともに、39施策・334事業に総額1兆7千億円もの膨大な予算を投入することを明らかにした。
 「10年後の東京」における都市戦略では、成長を経て成熟を成し遂げた都市としながらも、さらに高いレベルの成熟した都市を求め、世界諸都市の「範」となるよう「3つの取り組み」を掲げている。そして、その第1に取り上げているのが「20世紀の負の遺産」と自らの持論を展開した三環状道路等の整備という経済性を最優先した政策展開である。
 ここでは8つの目標を掲げているが、今回発表した「実行プログラム2008」では三環状道路や臨海部道路網の整備等に3年間で5,766億円という他の事業とは比較にならないほどの予算を掲げるとともに、一方でその批判をかわす道具としてオリンピック開催という「夢」の実現を都民・国民に語り、納得させるための「オリンピックムーブメント事業費」として立候補ファイルの作成や海外招致活動に56億円もの税金(予算)を投入しようとしている。
 これまで、経済論理に基づくお金儲けの金銭至上主義は結果として格差社会を生み出し、行き過ぎた成果主義・競争社会は公共輸送の安全偽装・建物の偽装・食の偽装をはじめとした事故や犯罪など、社会生活の安全・安心を根底から揺るがしている。
 今、東京が「魅力ある都市」として必要なのは、夢で終わるかもしれないオリンピックの招致を前提とする大企業本位の経済性を最優先したインフラ整備による成長ではない。肥大化した都市を制御し、広い意味での環境という総合的な視点で再編するため、格差社会の是正や安全・安心につながる生活課題など、内面的問題の改善を図った品格や秩序を備えた都市としての成熟が求められている。
 今こそ、東京という大都会の中で弱体化したコミュニティーを取り戻し、自然と共に生きてきた日本人が世界に向けて行うべき行動は、外面的なさらなる成長を求めた論理の応酬による施策ではなく、地球環境や景観に配慮しながら、福祉・教育・住宅・雇用などの都民生活に直結した「情緒や思いやり」による施策を充実させ、真に成熟した都市として21世紀のモデル都市を確立する必要がある。
 都庁職は、引き続き石原都知事による都民不在の独裁的な都政運営を厳しく監視し、意見表明を行うとともに、地方自治体としての責務を全うするために奮闘するものである。

以上

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