|
2026年東京都人事委員会勧告に対する都庁職の見解と態度
2026年10月22日
東京都庁職員労働組合
1 はじめに
10月16日、東京都人事委員会は、都議会議長及び都知事に対し職員の給与に関する勧告・報告(意見)及び人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)を行いました。
給与に関する報告では、例月給については、民間給与が都職員給与を14、209円(3・30%)上回っているとし、職務・職責差を給与へ一層反映させる観点から、管理職について、全号給を平均改定率以上引上げつつ、業務遂行において重要な役割を担う中堅層職員について、昇任インセンティブ向上の観点から、上位職位昇任の実態等を踏まえ、一定号給まで平均改定率を超える引上げ勧告をしています。例月給の改定は、4月に遡って行うとしました。また、特別給については、年間支給月数を0・1月分引上げ、期末手当と勤勉手当で均等に配分することが適当とし、再任用職員については年間支給月数を0・05月分引上げ、期末手当と勤勉手当で均等に配分するとしました。
昨年に引き続き全級全号給の例月給及び特別給の引上げ勧告となりましたが、「給料表を職級によりメリハリをつけた」とし、行(一)4級、5級では昨年に引き続き全号で平均改定率を上回る引上げ勧告がなされた一方で、この間賃金抑制を強いられ続けている行(一)1級、2級の高位号にいるベテラン職員は、1級では2・6%、2級では2・9%の改定と、この間の物価上昇により引き下がった実質賃金の回復には不十分な内容であり、到底納得できるものではありません。
2 2026年人事院勧告及び他団体の状況
(中略)
3 東京都人事委員会勧告の内容と問題点
1.例月給の較差と給料の改定
職員給与の報告と勧告では、本年4月における都職員の平均給与が431、169円であるのに対し、民間給与実態調査による民間従業員の平均賃金が445、378円であったとして、例月給の公民較差を14、209円(3・30%)としました。このため、給料表の引上げ改定を4月に遡って行うとし、職級によりメリハリをつけた上で、全級全号給について平均改定率3・5%の引上げ改定を行うとしました。
今年の春闘では、連合最終集計で5・01%と昨年に引き続き高水準の賃上げが報告されていましたが、人事院の勧告では民間春闘結果を大きく下回る3・51%となり、東京都人事委員会勧告では国を下回る較差3・30%となりました。私たちの要求に遠く及ばない、不十分な勧告であると言わざるを得ません。また、給料表の改定について、職務・職責差を給与へ一層反映させる観点から、管理職については昨年に引き続き、全号給について平均改定率以上に引き上げるとしている点も、職責・能力・業績主義の強化を反映した内容であり問題です。さらに、昇任インセンティブ向上の観点から、上位職への昇任実態等を踏まえ、一定の号給まで平均改定率を超える引上げを行うとしており、この結果、行(一)1級、2級、3級の高位号給が割を食う形で平均改定率を下回る改定率となっています。
2.再任用職員の給与
勧告では再任用職員の基準給料月額について、「国の改定方法を踏まえ、都内民間事業所におけるフルタイム勤務再雇用者の給与水準を考慮し、近年の改定の考え方による改定率を上回る引上げを行う」として、1級では21、100円、2級では24、500円、3級では28、800円の基準額の改定がありました。改定率を見ると、1級から4級の各級においては10・1%の改定がなされている状況です。特別給は、0・05月分の引上げを期末手当と勤勉手当へ均等に配分しています。これにより、年間の期末手当は1・45月、勤勉手当は1・2月となり、特別給に占める勤勉手当の割合は、45・2%から45・3%となります。暫定再任用職員の勤務形態は約9割がフルタイムで、仕事も定年前職員と同様になっています。今回の、近年の改定の考え方による改定率を上回る引上げ勧告については、長年の私たちの要請に応える内容であり、運動の一定の成果と言えます。一方、生活関連手当の支給や一時金を定年前職員と同様の支給月数とするということについて一切言及されていない点については、不満が残ります。
3.初任給
初任給の改善については、�T類B(大卒)9、500円、�U類(短大卒)9、500円、�V類(高卒)9、500円引上げるとしました。昨年に引き続き、国家公務員の大卒総合職の初任給と比較して、I類Bの初任給は同水準となっています。昇給カーブのフラット化については、1級での昇給幅は勧告前後の給料表で1、000円の減少となっていますが、「職級によりメリハリをつけた」給料表改定により、昇格しないと昇給が早期に頭打ちとなる構造が相対的に強化されていると見ておく必要があります。
4.特別給
勧告では、特別給の民間支給月数が5・00月であり、都の現行4・90月を0・10月上回っていることから、都職員の年間支給月数を0・10月引上げ、5・00月とするとしています。再任用職員については、年間支給月数を0・05月引上げ、2・65月とするとしています。特別給の引上げは、民間従業員の特別給における考課査定分の割合等を考慮し、期末手当と勤勉手当で均等に配分することが適当であるとしています。引き上げた特別給は、今年度は12月期の期末手当と勤勉手当をそれぞれ0・05月分(再任用は0・025月分)、2027年度は、6月期、12月期の期末手当と勤勉手当を0・025月分(再任用は0・0125月分)ずつ引上げるよう勧告しました。
都人事委員会の資料によると、特別給の支給状況は1、000人以上の企業で年間5・25月であり、私たちの要求からすれば、0・10月の引上げでは到底納得できる内容ではありません。また、今回も昨年に引き続き特別給の引き上げ分を期末手当と勤勉手当に均等に配分することが適当としていますが、すべての職員の生活改善が急務である現状からすれば、すべてを期末手当に配分するべきです。さらに、再任用職員の年間支給月数について、定年前の約半分という水準の改善について言及がなされていない点も非常に不満のある内容です。
5.福祉人材及び技術人材の給料の調整額
職員の給与に関する報告(意見)において、児童相談所における虐待相談の対応や、建築基準法に基づく建築確認検査といった、都民の安全・安心に直結し、高度な専門的知識・経験を前提として重い判断責任を伴うなど、著しい特殊性が認められる職務を担う人材については、民間を含めた人材獲得競争が激化する中にあっても、処遇への反映を通じて安定的に確保し、定着させていくことが必要であるとして、適切な対応を検討する必要があるとしています。著しい特殊性が認められる職務を担う人材の確保・定着のために処遇について適切な対応が必要あるという点について異論はありませんが、都庁の現場は多岐にわたり、同様に著しい特殊性のある職務を担っている職員は意見に盛り込まれた職場以外にも多数いることから、今回の限定的な言及については疑問が残ります。
6.転居に関する手当
転居に関する手当については、都においては単身赴任手当と同様、島しょ公署に勤務する職員が主要な対象となることが見込まれるとし、今後、国における法改正等の動向を注視するとともに、手当の趣旨及び都の実態を踏まえ、人材の確保・定着や、円滑な人事配置といった観点から、適切な対応について検討していく必要があるとしています。島しょ勤務職員の労働環境は、立地条件や自然環境、頻発する台風被害、業務の特殊性等から大変厳しい状況であり、島しょ赴任者確保の観点からも早急な処遇の改善を求めます。
7.会計年度任用職員の報酬
人事委員会は、本年、人事院が民間の動向や常勤職員との権衡を踏まえ、任期が相当長期にわたる非常勤職員について、扶養手当及び住居手当に相当する給与の支給に努めることを非常勤職員の給与に関する指針に明記したこと、総務省が、このことを踏まえ、地方公共団体に対し、任期が相当長期にわたる会計年度任用職員については扶養手当及び住居手当に相当する報酬を支給する必要があるとしたうえで、具体的な支給方法については、常勤職員との権衡等を踏まえて定めるよう通知を行ったことについて触れ、都においても、これらの趣旨を踏まえ、その処遇のあり方について検討する必要があるとしています。会計年度任用職員の処遇については、都庁職としても常勤職員との均等待遇を求めており、今回意見の中で触れられている以外の手当や、休暇職免制度、また、勤続年数に基づく昇給制度を含めて、処遇の改善を求めていく必要があります。
8.今後の課題
都人事委員会は、職員の給与に関する報告の今後の課題として、「職務給の更なる進展」「国の新たな給与体系検討を踏まえた対応」「定年の段階的引上げを見据えた給与制度の検討」を上げています。
「職務給の更なる進展」では、都人事委員会は職務・職責を給与へ一層反映させる観点から、役職や昇任実態を踏まえたメリハリある給料表改定を継続して行っているとし、今後も、職務・職責の給与への反映を徹底するため、給料表の水準・構造や、昇給制度など、都の実態に即した見直しに取り組むとともに、人材獲得における競争力を高めるといった観点から、必要な給与の改善を図っていくとしています。
「国の新たな給与体系検討を踏まえた対応」では、人事院が職務・職責をより重視した新たな給与体系の実現に向け、俸給表の新設のほか、業績や職責に応じて支給する業績等手当の新設等について措置の骨格を示すなど、能力や成果、担う役割に見合った処遇をより重視する方向性を明確にした点に触れ、今後、国の見直しの動向を注視し、都の任用実態や人材確保を巡る課題等に基づきながら、職務・職責や能力・業績の給与への反映を更に徹底する観点から、都の給与制度の在り方について研究・検討を深めていく必要があるとしています。
「定年の段階的引上げを見据えた給与制度の検討」では、人事院は、60歳前後の給与水準について、近年の民間の動向を踏まえ、年齢に関わらず職務上の役割・能力・実績をより反映した処遇を目指し、シニア職員の人事管理に関連する制度と一体的に検討を進めていく必要がある旨、言及していることに触れ、都においても、今後60歳を超える職員がさらに増加していくことが見込まれる中、そのような職員が、豊富な知識・経験を十分に活かしながら意欲を持って活躍できる給与制度としていく必要があるとした上で、人事委員会としては、国や民間の動向を注視しつつ、都の任用実態等を踏まえ、65歳定年の完成を見据えた給与制度の在り方について、引き続き研究・検討を進めていくとしています。
9.人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)
都人事委員会は、この間の採用制度の見直しにより、I類B採用試験では昨年度以降、受験者数が増加に転じ、経験者採用選考では採用予定者数を大きく上回る申し込みとなるなど、明るい兆しが見られるとしています。しかし、一方で、技術系職員については、人材の確保が特に深刻な課題となっており対応策の検討が急務であるとし、これまでの取り組みに加え、高卒程度の採用試験である�V類採用試験においても、志望者確保につながる採用の仕組みについて検討を進めるとしています。
しかし、職員の育成・定着の視点なしに、新規採用にばかり力を入れても仕方がありません。「キャリア形成のサポート」の中で、職員に必要な基礎的な法令等の知識を早期に習得させるためには、研修の着実な実施や、基礎力確認テストの受検促進・定着等が有効、また、人材育成においては、AIでは代替できない政策的判断や対外折衝等の能力を高め、職員がより質の高い政策形成や都民サービスにつながる業務に注力し、行政ニーズの高度化・複雑化に的確に対応しておくことが求められるとしていますが、職員が定着しないのは、現在の都政の職場が、長時間労働や民間賃金を精確に反映していない低賃金など、働きがいのある魅力ある職場となっていないことが原因です。魅力ある働きがいのある職場、「選ばれる都庁」だけではなく「選ばれ続ける都庁」を実現するために、当局は都労連要求に応えるべきです。
「女性の活躍推進」では、本年4月時点における都の行政職種の管理職に占める女性の割合は18・8%であり、国や他自治体と比較して高い水準にあるものの、「2050東京戦略」において目標としている2035年に30%の達成に向けては、依然として隔たりがあり更なる取組が必要、女性の活躍を支援する取組は、女性のみならず、職員誰もが生き生きと働くことができる環境の実現につながるものであり、その着実な推進が強く望まれるとしています。この実現のためには、まずは全ての職場において時間外労働や長時間労働を前提とした働き方を一掃し、いかなる期間の休暇制度等をいつ利用しても、職場に残る職員に大きな負担を生じさせない人的・制度的な裏付けがなされなければなりません。
「高齢層職員の活躍」の中では、様々な都政課題に的確に対応するため、高齢層職員の豊富な知識と経験を活かし、組織運営に活用していくことが重要としています。また、本年人事院において、シニア職員の活躍を支えるという観点から、給与水準と一体的な検討を加速していくという報告があったことに触れ、都の実態を踏まえた任用・配置の在り方について検証を進め、継続的に活躍できる環境を整備していく必要があるとしています。このような重要な役割を期待される高齢層職員に対して、給料水準について一定改善はあったものの、生活関連手当の支給や一時金を定年前職員と同様の支給月数とするということについて一切言及していない人事委員会の勧告は、ダブルスタンダードであり不十分だと言わざるを得ません。
10.働き方改革と勤務環境の整備
働き方改革と職員の勤務環境の整備では柔軟で多様な働き方の推進、長時間労働の是正、職員の健康保持などについて報告しています。
柔軟で多様な働き方の推進では、この間テレワークや時差勤務など柔軟な働き方を可能とする制度を充実させるとともに、育児と仕事の両立を支援する環境整備に取り組んできたとし、今後も、職員が希望する期間、安心して柔軟な働き方を選択できるよう、制度の周知・利用促進と職場風土の醸成を一層進めていく必要があること、育児と介護を同時に担うダブルケアに直面する職員についても、安心して働き続けることができるよう必要な支援について検討を進めること、人事院の勧告において述べられている取得事由を問わず年間7日取得できる無給休暇の新設について、都においても必要な対応について検討する必要があることが述べられています。
長時間労働の是正については、長時間労働は、職員の生活時間の確保を困難にするだけでなく、疲労の蓄積による業務効率の低下や業務上のリスクの増大を招くものであり、とりわけ職員の健康確保の観点からも、その是正は重要な課題であるとし、超過勤務命令の上限時間を超えて超過勤務を行った職場においては、要因を適切に分析し、実効性のある改善策を講じることを強く求める、また、超過勤務の上限を超えることができるとされている特例業務については、その趣旨に則り適切な対応が必要である、としています。都庁職としても毎年超過勤務縮減に関する要求書を提出し、当局に改善を求めているところであり、過労死ラインを超える超過勤務を可能とする特例業務については、より厳格な運用の仕組みをつくることが必要であると主張してきています。業務量に見合った人員配置を求めるとともに、すべての職場で長時間労働の是正を行うために、さらに踏み込んだ対策を求めていく必要があります。
職員の健康保持については、都の職場においては、令和6年度に心身の故障により休職となった職員は4、449人であり、そのうち、心の不調による休職者が多く占めることから、心の健康保持に向けた取組が重要としています。先日行われた東京都安全衛生委員会においても、令和6年度において30日以上の病気休暇等を取得した理由の8割弱が精神障害であり、2番目に多い取得理由の新生物4・3%と比較しても非常に多いことが判明しています。意見では、引き続きメンタルヘルスケアの基本である一次予防・二次予防・三次予防の取組を着実に実施できる体制を整備していくことが求められるとしていますが、そもそも職場環境や業務から生じるメンタルヘルス不全を起こさないよう、一次予防である未然防止を徹底する取組の強化を求めていく必要があります。
4 都庁職の態度
都庁職は、東京都人事委員会勧告に向けて、大都市東京に暮らす職員の生活実態を踏まえて、全ての職員の生活改善につながる、物価の高騰を上回る大幅賃上げを求めて、都労連指令に基づく全組合員を対象とした人事委員会要請署名、職場一斉宣伝行動、ステッカー闘争などに職場・支部をあげて取組んできました。
今回、東京都人事委員会は、例月給については公民較差を14、209円、3・30%としました。この間の急激な物価高騰に対応するため大幅な賃金引上げを望む私たちの期待を裏切り、国家公務員の較差15、056円を下回る、大都市東京の民間賃金実態を精確に反映していない極めて不十分な勧告です。また、公民較差の算出にあたって実施した民間給与実態調査の完了率も59・9%と、国の82・5%と比較しても非常に低いうえに、その較差算出過程における数値が全く不透明であることからも、結論だけの勧告内容に不信感を持たざるを得ません。給料表の改定については、職務・職責差を給与へ一層反映させる観点から、管理職について、全号給平均改定率以上の引上げ、業務遂行において重要な役割を担う中堅層職員について、昇任インセンティブ向上の観点から、上位職昇任の実態等を踏まえ、一定号給まで平均改定率を超える引上げを行い、給料表を職級によりメリハリをつけた上で全級全号給について平均改定率3・5%の引上げ改定を行うとしました。この結果、行(一)1級、2級、3級の高位号給が割を食う形で平均改定率を下回る改定率となっています。同一の級での賃金上昇余地は改善されず、昇格しないと昇給できない、職責・能力・業績主義の強化を反映した内容であり問題です。
特別給について、この間私たちが期末手当での支給を強く求めてきたにもかかわらず、期末手当と勤勉手当で均等に引上げるとしたことは、職員の能力・業績を給与へ反映させることを狙いとしており、都人事委員会が「職責・能力・業績主義」の徹底を図る都側に加担する不当な内容です。また、民間給与調査結果で示されている企業規模1、000人以上の支給状況が5・25月であるにも関わらず、5・00月の勧告にとどまっている点も不満です。さらに、この間改善を求め続けてきた再任用職員の年間支給月数について、定年前の約半分という水準の改善について言及がなされていない点も非常に不満のある内容です。
本年の報告では、私たちが求めていた、長時間労働の是正や職場環境の改善などについて、具体的な意見の申し出はありませんでした。報告の内容も、全体的に当局の主張に沿ったもので、都労連・都庁職の要請に応えない不十分なものであり、中立・公正な第三者機関の役割と責任を放棄していると言わざるを得ません。
都労連は、この不十分な勧告によることなく、労使交渉による大幅賃上げと都労連要求の実現に向け全力で闘うとしています。
都庁職は、都政の現場で働く全ての組合員が生活を維持し、誇りをもって働ける処遇改善を実現するために、職場・支部・分会からの運動を基軸にして取組を進めていきます。
2026年秋季年末闘争において、都労連各単組の統一と団結を固め、要求実現に向けて都庁職の総力を上げて闘う決意です。
以上
|