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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 

健康 メンタルヘルス講座(32)

自殺を防ぐ
@自殺は選んだ道なのか?


 最近、自殺報道をよく耳にします。今回からメンタルヘルスの最悪の終着点である自殺についてお話します。
 自殺に対する考え方は、自分の身近な方がその行為で亡くなったかどうかで大きく異なります。これまでまったく関わったことがない方は、「自分でその道を選んだのだから、それもひとつの方法だろう」「死ぬといっているやつは死なない」と思われるかもしれません。これらは間違った認識です。
 そのことに触れる前に、まず日本における自殺の現状に触れてみたいと思います。警察庁の統計によると、2006年度では32、155名の方が自殺で亡くなっています。これは交通事故で亡くなる方の5倍以上の数にもあたり、日本人の死亡理由の第6位となっています。単純計算でも1日に88人の方が、そして1時間に3、4人の方が亡くなることになります。もちろんこれは実行して亡くなった(完遂された)方の数値でしかないので、未遂なども含めると自殺企図者はさらに多く存在します。
 ではこの人たちは最良の解決策として自殺という手段を選んでしまったのでしょうか。実はそうではないのです。大きな失敗をしてしまったとき、もう死んでもいいかも知れないと思ったことがある人は少なくないと思います。ですが、自分がいなくなった後のことなどを考えて、「そういうわけにはいかないよな」と思うのが一般的でしょう。
 自殺者も当初は同じ考え方をしているのです。それなのに実際に行動をとってしまう、ここには「異常な心理状態」が関係しています。
 ある統計では自殺者の90%が精神障害にかかっており、その半数以上がうつ病であったとしています。
 一部には自ら死を希望したり、自殺未遂を繰り返して他者の注意をひこうとする場合もありますが、これらはまれであり、ほとんどが自殺を選んだわけではなく、通常の思考が行えなくなった末におこる悲劇です。
 「死ぬというやつは死なない」という言葉もまったく根拠のない“嘘”なのです。
 次号では“自殺につながる心理”についてお話したいと思います。

(産業医の立場から 宇佐見和哉)

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