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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 

健康 メンタルヘルス講座(22)

職場のメンタルヘルス
B職場におけるアルコール問題と依存症の予防



 アルコール依存症シリーズ最終回は、労働環境とアルコール依存の関係について考えていきたいと思います。
 古来、日本社会の風潮としてアルコールが人間関係の潤滑油のような役割を果たし、また酒の席での付き合いが出世の重要な要素だと考えられていました。最近では酒の強要が問題になるなど、飲酒行為の社会的な認識は徐々に変化しつつありますが、まだ根強いものは残っているのではないでしょうか。
 このような経緯からか、飲酒に伴う軽度の問題行動は軽視されがちです。例えば健康診断において、肝機能異常などは「少し飲みすぎたかな?」と、その他の検査値の異常に比べ軽視されがちな印象を受けます。
 深刻な問題行動を起こす時期になると、周囲も本人に対して注意をするようになります。しかしこの頃には、いくら注意をされても「飲みすぎるから悪いんだ、そんなに飲まなければ大丈夫」と耳を傾けません。これは心理学的に「否認」といわれ、依存症治療の大きな阻害因子となります。そのうち周囲に見放され、最終的に失職するという経過は、それ以後の本人の経済的破綻から犯罪を起こすなど「社会的な死」へつながるきっかけになります。ですから軽度の飲酒問題が出現してきた時期に、職場でしっかりと管理されることが、依存症の発症予防に非常に重要となります。問題行動としては一般的にまず家庭不和から始まるといわれ、その後職場で、遅刻の常習化(特に給料日、休日の翌日など)、仕事上のケアレスミスや事故の増加、作業効率の低下などの問題行動が出現し始めます。アルコール臭を漂わせながらの出勤、職場内でのトラブルも目立つようになります。
 アルコールに関わらず、依存症は誰にでも起こりうる病気ですが、必ず治る病気でもあります。ただ治療には本人の強固な意志が必須となります。そして、自分から問題意識を持って受診する例もほとんどありません。
 今回お伝えしたかったことは、(1)もしもアルコールに関する注意を知人から受けた場合にはそんなことはないと否定するのではなく、早期受診を心がけていただきたい、(2)知人のアルコールへの変化を感じた際にはぜひ本人に(言いづらい場合には上司を通して)率直に忠告していただきたいということです。
 決してアルコールは悪者ではありません。私も大好きですし皆さんにもやめるべきというつもりはありません。ただ、依存という危険もあることは心の片隅に持ち、適量を楽しみましょう。

(産業医の立場から 宇佐見和哉)

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